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新人療法士向け 人事考課における目標管理シートの考え方と書き方

若手向け
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はじめに

国家試験に合格し、晴れて理学療法士として働き始めた新人の皆様。

この度はおめでとうございます。

5月に入りゴールデンウィークも終わってしまった今日この頃、そろそろ理学療法士として働くことにも慣れてきた頃だろうか。

毎日が楽しいと感じる方もいるだろうが、養成校で習ったことと、現実との乖離にストレスを感じたり、悩んだりすることも多いのではないだろうか。

また、理学療法士としてはもちろんのこと、社会人・組織人としての振る舞いが求められることから、自分の立ち位置を見失いかける人が多くなる時期でもあるので、あまり重く感じ過ぎないようにしていただきたい。

 

さて、本題に入ろう。

社会人・組織人として働くにあたり、近年では各々に業務における目標を設定し、それらをそれらを基に人材育成やキャリア開発を促していこうとする組織が多くなっている。

それを背景に上司があなた達を管理するためのツールとして使用するものが、”目標管理シート”である。

これだけ聞くともっともらしい方策ではある。

ただ、「今年の目標はどうする?」と突然上司から聞かれて明確に返答できるものはいるだろうか?

もしも即答できる!という方は、右上の×マークを押して、このブログから立ち去ってくれて構わない。まあそんな人間はこのブログにたどり着くこともないだろう。

というわけで今回は、特に新入職した社会人1年目の若者たちに対して、目標管理シートの考え方や書き方について述べていこうと考えている。

 

 

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目標管理について考える

そもそも目標管理が今日のように広まったのはなぜか。その歴史も踏まえて学んでいく。

目標管理(Management by Objectives、略称MBO)は、組織や企業で効果的な管理手法として広く採用されている。かの有名なピーター・ドラッカーによって1954年に提唱されたものである。

この手法は、個々の目標と組織の目標を一致させ、それを達成するために各スタッフが自らを管理する概念に基づいている。

 

MBOの基本構造

MBOのプロセスは、組織全体の目標を明確にし、それに基づいて各階層や個人の目標を設定することから始まる。

目標は具体的で測定可能、実現可能、関連性が高く、時間的に限定されたものでなければならない。これをSMART基準と呼ぶが、詳細は後述する。

目標設定の際、スタッフ自身が積極的に関与する必要がある。これにより、目標に対するコミットメントが強化され、その達成に向けてのモチベーションが増す。そのため、人事考課で目標管理シートが用いられるのだ。

進行中のプロジェクトや業務においては、定期的な進捗確認が行われ、目標の達成状況が評価される。このフィードバックプロセスを通じて、目標達成のための必要な調整が行われることもある。

 

つまりは、上司やマネージャーからの積極的なフィードバックとサポートが、この過程で重要な役割を果たす。

 

MBOの利点

  • 明確な目標: 明確にされた目標は、自分が何を達成すべきかを正確に理解し、その目標に向かって効率的に取り組むことを可能にする。
  • 自主性の促進: 自分で設定した目標に取り組むことは、自己管理の能力を高め、自らの仕事に対する責任感を強化する。
  • 組織の一体感の向上: 個人の目標が組織全体の目標と連携しているため、チーム全体の連帯感が強まり、より一層の協力が期待できる。

 

以上のように、MBOは、正しく理解し適切に適用されれば、スタッフのモチベーション向上生産性の向上組織全体の目標達成に大きく貢献することができる。

個々が自らの役割を理解し、それに向かって努力することが、MBOの真髄である。

 

さて、少しは目標管理の意義について理解できただろうか。

MBOの概要を読めばわかるだろうが、基本的に目標管理がうまくいくかどうかは、ほとんどが管理者側、つまり上司の質に依存するということだが。

ゆえに、素晴らしい目標を立てないとダメだ。と過度に不安になる必要はない。あなたが素晴らしい目標を立てられない原因のほとんどが上司の能力不足のためだから

 

とはいえ、自分自身のキャリアアップのためにも、この機会を有効活用することに損はなし、個人としての能力を向上させる上では真面目に考えた方が圧倒的に自分のためになる。

というわけで、次の項からは、目標管理シートについても話をし、目標設定時の注意点についても述べていく。

 

 

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目標管理シートの概要と書き方

目標管理シートは新人療法士のキャリア発展において中核的な役割を担う。キャリアの初期段階で具体的な目標を設定し、それを適切に追跡することは、プロフェッショナルとしての成長を加速させることに繋がる。

このプロセスは、新人が直面する課題を明確にし、その解決策を体系的に導くために設計されている

目標管理シートを利用することで、新人療法士は日々の業務を超えたキャリア目標に焦点を当て、自己のスキルセットを効果的に拡張できるようになる。

目標管理シートの重要性は、個々の業務が全体のキャリア目標とどのように連動しているかを可視化することにある。特に新人療法士にとっては、自分自身の進歩を追跡し、具体的なフィードバックと成果を測定する手段として機能する。

 

それでは本題である目標管理シートの書き方について述べるが、詳しい内容は昨年のブログ記事であるこちらを参考して頂きたい。

ひとまず重要な点について簡単に振り返る。

 

SMARTな目標を立てよう

SMART基準を用いた目標設定は、理学療法士として求められるスキルの習得、患者ケアの質の向上、そして最終的には職場での責任拡大につながる。

具体的な(Specific)
目標は明確で理解しやすいものとする。例えば、「次の評価期間までにTKA術後の理学療法技術を習得する」といった具体的な目標が設定される。

測定可能な(Measurable)
進捗は定量的または定性的に測定可能である必要がある。これにより、目標達成について効果判定が可能となる。この効果判定の可否はかなり重要なので意識してもらいたい。達成可能(Achievable)
目標は現実的で達成可能な範囲内に設定することが重要である。過度に高い目標はモチベーションの低下を招く可能性がある。これについては後述する。

関連性のある(Relevant)
設定された目標は、個人のキャリア目標や組織の目的と直接関連している必要がある。今職場で行っていることに関連していないと、目標達成までのプロセスで培ったものが活かされず、かつその後の成長も見込めなくなる。

時間制約がある(Time-bound)

具体的な期限を設けることで、目標に対する緊急性と焦点が生まれ、計画的な行動が促される。

 

さて、以上を踏まえると、例えば”理学療法士として一人前になる”とか、”理学療法士として自立する”とかいった目標は、SMARTな目標ではないということがお分かり頂けるだろう。

SMARTな目標を設定し、それを踏まえて目標管理シートを活用することで、自分自身の進捗を明確に把握し、必要な調整を行うことができるため、自信を持って次のステップに進むことができる。

基本的に、これをマネージメントするのが上司の役割だが、目標管理を正しく行えると、上司の能力に依存しなくても、自分自身でキャリアを形成してくことができるので、是非とも真面目に考えてみて欲しい。

 

 

新人におすすめの目標例

新人療法士が目標管理シートに設定するべき目標は、直面する初期の課題を克服し、専門的なスキルを確実に習得するためのものが望ましいと考える。

 

以下に、具体的な目標のカテゴリとそれぞれの例を挙げるので、参考になれば幸いである。

  1. 職務能力向上系
    • 目標例:年度末までに、整形外科術後の理学療法技術をマスターし、上司の直接の監督なしに患者評価および治療を行えるようになる。
    • 概要: この目標は具体的であり、時間制約が設定されており、達成可能である。ただ、達成するための行程について、より詳細に検討する必要がある。(例:TKAの術式や術後の注意点について調べる・〇〇という参考書を読むなど)
  2. 資格取得系
    • 目標例:次の年度末までに、呼吸療法認定士の資格を取得する
    • 詳細: この目標は、専門知識の拡大と資格の取得を組み合わせることで、より複雑な症例に対応できるようになることを促します。また、測定可能であり、関連性が高いのもよい。ただ、新人に関しては、資格取得が優先順位として高いかどうかも考慮する必要があるので注意してほしい。
  3. 業務効率の向上
    • 目標例:来年度までに、患者のカルテ記載にかかる時間を現在の30分から20分に短縮する。
    • 詳細: この目標は時間管理を学び、日々の業務をより効率的に遂行するために重要となる。理学療法には直接関連しなさそうだが、組織で働く上ではかなり重要な項目となるので、考慮しても良いのではないだろうか。目標設定時に業務にかかる時間を測定し、効率化の可能性を追究してから具体的な行程を検討することをオススメする(先輩との比較とか)。

 

他にも、”心臓リハに関する研修会に年3回以上参加し、年度末に部内でプレゼンする”といった、自己研鑽系に関する目標も新人にとってはオススメである。

 

正直なところ、組織側からしたら新人の目標達成による組織に対しての短期的な利益は期待していない

ゆえに、自身の能力を向上させるところにフォーカスした目標が新人にとっては重要であり、同時に組織もそれを望んでいるため、自身の現状の境遇を鑑みた上で検討して頂きたいと思う。

 

 

目標管理シートを作成する上での注意点 NG目標

さて、ここでは新人が目標管理シートを書く上での注意点について述べる。

これはあくまで私見の域をでないため、参考になるかはわからないことを断っておく。

高すぎる目標

新人の諸君の中には、”高い目標を立てて、向上心のある人間に思われたい”などといった、野心的な考えをもっている方もいるだろう。

何より、私もこのタイプに近かったため、気持ちがわからないでもないが、これについては全くもってオススメしない。その理由としては、以下があげられる。

① 高い目標を立てることが目的化してしまい、達成までのプロセスが軽薄化する。

② 高い目標を達成することに迫られ過ぎてプレッシャーに潰される。

③ 向上心が高すぎる新人は毛嫌いされる可能性が高い

①については、恥ずかしながら私自身も経験しているものだ。そもそも目標管理シートは、自身の評価を上げるためのものでなく、自身の成長のためのものである。ゆえに目標を立てることよりも、目標達成のためのプロセスが重要となるため、本来の意義を見失う可能性が高い。低すぎる目標についても問題ではあるが、むしろ気持ち低めの目標の方が次年度に繋がる可能性も高いので、皆さんも気を付けてほしい。

②については、真面目な人ほど陥りやすい部分である。真面目ゆえに目標設定の段階から自身に負荷をかけてしまい、それが重しになって精神的にしんどくなってしまう目標に対して実直に頑張る姿勢は重要なのだが、それゆえに高すぎる目標は害にしかならない。当てはまりそうだなと考える人は注意してもらいたい。実際にそれで精神を病んだ人間も多数見てきた。
なお、逆にプレッシャーを感じない人間は、単なる無責任な人間なので、次元の違う問題であるため、基本的に放置するでOKだ。

③については、残念ながらほとんどの組織がそうであると認識しておいて損はない。近年SNSの発達により、様々な組織の管理職といえる人物の考えや働きが可視化されてきた。実際にインフルエンサーと呼ばれる療法士のえらいさんもいる。そんなえらいさんは、高尚な発言や意識高い組織運営をアピールしていることが多いため、SNS最盛期世代の新人の療法士の諸君は、どの職場も同様の考えを持った管理職がいるのだろうと思っているかもしれない。まあすでに気づいた人もいるかもしれないが、そんなことは無いのがこの世界であり、大半の管理職と呼ばれる人間は、自分の地位を脅かすようなスタッフは毛嫌いする傾向にある。(現にインフルエンサーと呼ばれる療法士と働いた経験もあるが、同一人物の発言か疑うレベルであり、逆に笑ってしまった)

中にはSSRの管理職を引き当てる幸運の持ち主もいるかもしれないが、いずれにせよ、新人の内は爪を隠しておいた方が無難である。

 

組織運営に関する目標

以前のブログにて組織運営に関する目標例について述べている。ただ、これに関してはある程度組織に属した上で、組織における課題が見つかれば解決すべき目標にすればよいが、まだ新人・若手の段階では不要だろう。

 

達成の過程に他者の働きが必要な目標

ここは若手に限らず、かなり重要な点。この点に関しては、私自身の経験からも強く主張したい。

どんな事柄にも通用するが、他者の働きは自身がコントロールできないため、それが前提での目標を立ててしまうと、自身がどれだけ頑張ったとしても、目標に到達しない可能性をはらんでしまう

もちろん、完全に自身の力だけで達成できる目標というのも逆に難しいが、できる限り他者に依存する部分は少ない方がベターである。

少なくとも、目標は他者に依存しないといけない部分があったとしても、具体的な行動計画については自身のみで完結できるものにした方がよい。

例えば、”今年度中に多職種カンファレンスを立ち上げ、月一回開催する”といった目標について考えてみよう。これはSMARTな目標と言え、社会的意義も大きい。ただ、実現のためにはどうしても他職種の働きが必須となる。こちらがいくら頑張ったとしても、他職種には他職種の都合があるため、利害が一致しない場合、他職種の協力が得られず目標の達成は難しくなる。(忙しいからカンファレンスには参加できません・・とか)

対して”今年度中に多職種カンファレンス立ち上げに向けた準備を行う”という目標について考えてみる。他職種からの意見聴取や具体的なカンファレンス実現までのロードマップ作製などを”準備”として行うのであれば、自身の働きだけで実行可能となるため、目標達成の実現性が高い。

ちなみに、部門を統括することが求められている人間、すなわちリーダーや管理職などは、他者の介在を加味しての目標を設定する必要がある。ただし、働きに干渉できる権限が与えられている範囲内で目標設定をすべきである。

ゆえに、新人などの他者の働きに干渉できる権限を与えられていない者は、他者の働きを前提にした目標設定は避けるべきだ。

 

 

おわりに

以上が新人向けにアップデートした、目標管理シートの書き方の内容である。

参考になった方がいれば幸いだ。

もし、目標管理シートの書き方について誰にも相談できずに困っているのであれば、気にせずこのブログにコメントを残してほしい。

拙い経験からのアドバイスしかできないかもしれないが、協力できるところは協力したいと思う。

ちなみに、以下のブログ記事も大変好評であり、目標設定の具体例も記載しているので、参考にしてほしい。

 

 

 

では今回はこの辺で!!

 

体調に気をつけて、リハビリ業界の荒波を乗り越えてくれ!

 

 

この記事を書いた人
りゅうぞう

生理学好きのギャンブラーPT
経済と投資について勉強中!!

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おっさん理学療法士はこう考える

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