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理学療法士の悪しき慣習

全理学療法士向け
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こんにちは、まめたです。

今回は理学療法士業界にはびこる悪しき慣習について考えたい。

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「先生」と呼び合う理学療法士たち

研修会など理学療法士たちが集まる場に行くと、決まって「○○先生」と呼び合う姿をよく目にする。言われた方もまんざらではない顔で応対する。そして、「○○先生」と先生返しをする。

そのような会話の中で、どこか違和感を持ちながら会話を進める理学療法士もいれば、やや気恥ずかしいような面持ちで会話を進める理学療法士もいる。その「先生」という響きにやや背筋を伸ばす理学療法士もいれば、満足気に会話を弾ませる理学療法士もいる。皆それぞれが三者三様である。

私は、この「先生」と呼び合うのがとても苦手である。もちろん研修会の講師の方や、理学療法士の学校の教員、大学教授など、先生と呼ぶのにふさわしい方々がいらっしゃるのは私も当然理解しているが。

「先生」という悪しき慣習に立ち向かうが…

一度、研修会のグループワークでこの「〇〇先生」という慣習を断ち切るべく、先手をとって同じグループの方を「○○さん」と呼ばせていただいた。これで、このグループは「○○さん」でいくだろうと思いきや、その後に続く方が、「○○先生」と何のためらいもなく呼びやがったのである。私はその後、数回「○○さん」と呼び、抵抗を試みたが、もはや私以外の全員が「○○先生」と呼び合う様に私は心が折れた。その後は「○○先生」と、途中で呼び方を変えるという大変恥ずかしい思いをしたことを覚えている。

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「○○先生」と呼び合う背景

理学療法士という仕事の特性

理学療法は、基本的には患者さんと1対1で行われるリハビリテーションである。そして、患者さんの痛みをとったり、動作獲得のための運動を指導したりする。誤解を招く表現かもしれないが、時には指導的な立場に立つこともあると考えている。そういう仕事上の特性が患者さんから「○○先生」と呼ばれる要因になっていると考えられる。また、現在の疾患別リハビリテーションの制度では、20分が一区切りであり、長ければ60分以上も1対1で過ごすこともある。そうなると、理学療法の実施中には患者さんの思いを聞く機会もある。そのような患者さんと近い距離感で過ごすことは信頼関係にも繋がりやすく、場合によっては「○○先生」と呼ばれる要因の一つと思われる。

理学療法士が金の卵といわれた時代

今でこそ、理学療法士は飽和状態になりつつあるのではないかと言われており、理学療法士協会および理学療法士連盟の方々は理学療法士の未来を守るべく奔走されている。しかし、理学療法士という職種が日本で認められた頃は、理学療法の実施による診療報酬は今の比ではないほど高く、正に「金の卵」であった。もちろん理学療法士の大先輩が患者さんへのリハビリテーションの価値を高めてくれていたからに他ならないことは言うまでもないが。だからこそ、医師のように、患者さんから尊敬の念を持って「先生」と呼ばれたのかもしれない。

その他職種の影響

痛みを抱えたりした場合、病院以外にも整骨院などの選択肢がある。私はそちらの方の知識はあまり持ち合わせていないため誤った表現をしていたら訂正いただきたいが、柔道整復師の資格をお持ちの方は医師の指示がなくとも診断し、治療を行い、それを保険点数として請求することが可能な職種であると認識している。しかも、整骨院などは事業主が治療者であることが多く、「○○先生」と呼ばれていることが多い。理学療法士と柔道整復師は違う職業であるが、患者さんの身体を改善する方向へ導くという点では似ている部分もあるかと思う。このように柔道整復師と似ている点が、患者さんが「○○先生」と呼ぶ一因になっている可能性がある。

患者さんの影響

理学療法士は高齢者と関わることが多い。それは高齢になることで身体に何らかの不具合が生じやすくなることが原因と思われる。そんな高齢者であるが、私のような若造に対しても敬語で丁寧にお話していただける方が多く、自身の立場を下げてまで敬っていただいているように感じることが、若年層と比べると多い。若年層は理学療法士を「○○さん」と呼ぶ人が多いように感じる。そのため、高齢者の方ほど「○○先生」と呼んでいただくことが多いと感じる。そんな高齢者の方の相手を敬う姿勢が「○○先生」と呼ぶことにつながっているのではないかと考える。

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「先生」と呼ばれることは悪か?

「○○先生」と呼ばれて

では、患者さんから「先生」と呼ばれることが良くないのか?

私はそうは思わない。「先生」と呼ばれて、自尊心が膨れ上がり、調子に乗って人生の大先輩に『指導しているぜ』という雰囲気を出す理学療法士が好きではないのである。もちろん、理学療法士として関わり、患者さんが少しでも良くなる姿を見て、『自分も少しはお役に立てたのではないか』なんて思っている時に「○○先生のおかげです」なんて言われたら、低い鼻も高くなる気持ちはわからないでもないが。そこは自分を律する心が必要である。

先生と呼び合う理学療法士たち

患者さんから「先生」と呼ばれること自体は、『自分を律する心を持ち調子に乗らないように気を付けよう』という精神で対応すれば大丈夫であろう。

私が最も気になるのは理学療法士同士が「先生」と呼び合うことである。確かに、以前受けた研修の講師がPT協会の集まりや学会の受講者として参加していることはある。学生の時の実習先の指導者に学校を卒業してから出会うこともある。理学療法士の業界は割と狭い業界だ。そんな狭い業界だからこそ、若い世代が上の世代に対し、『とりあえず「先生」と言っておけば間違いないだろう』、『呼び方で相手をイヤな気持ちにさせると今後やりにくい』などといった忖度によって生まれた慣習ではなかろうか。少なくとも私は自分より下の世代から「○○さん」と呼ばれた方がよっぽど話がしやすい。私は理学療法士同士が「先生」と呼び合うことが他者(他業種)から見て、ただただ残念で恥ずかしいのである。

もう「先生」と呼ぶのは止めよう

私は理学療法士の半分以上が「先生」と呼び合うことに違和感を感じていると思っている(調査をしたことはなく全くの主観だが)。もしそうであれば、この違和感をなくす方向に進めていこうではないか。ある学会に参加した際、ある理学療法士の座長が「この会は闊達な意見交換を行いたいため、全て敬称は○○さんと呼ばせていただきます。皆さんもご協力をお願いします。」と開始前に宣言したことがあった。なんと素晴らしい。ここまで言うのはかなりの上級者のため難しいにしても、まずは研修会などで会った自分と同世代ぐらいの理学療法士に「○○さん」と呼んでみよう。

勇気は必要だが、一人一人の行動がこの理学療法士業界の悪しき慣習を変えるのである。

この記事を書いた人
まめた

悩める中間管理職
外来勤務

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おっさん理学療法士はこう考える

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