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理学療法士は、ケアマネージャーの資格を取得すべきか ~後編~

全理学療法士向け
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なめろうです。

 

前回の記事(理学療法士はケアマネージャーの資格を取得すべきか~前編~)の続き、
理学療法士とケアマネ―ジャーとを兼務をするなめろうの“ケアマネージャー資格取得に関する私見”を書いていきます。

 

まず、誤解のないように言っておきたいのが、ケアマネージャーは高齢化社会で介護保険制度のある日本において重要な職種であるということ。

ただ、理学療法士ライセンスを持っている人が、ケアマネージャーの資格を取得したり、ケアマネージャーとして働くことは、一部を除き“おすすめしない”になると考えています。

今回は、理学療法士がケアマネージャーの資格を取得することは基本的にはおすすめしないという立場での私見を書いていきます。

 

 

 

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何度か耳にした“ケアマネージャーの資格取得を考えている理由”に対しての私見

これまで、ケアマネージャー資格を検討している数名の理学療法士と話をする機会がありました。まずは、その内容に対しての私見を書きます。

年齢を重ね、身体が衰えたときに、理学療法士として働ける自信がないから

これは、理学療法士は介助など身体的な介入をすることに対して、ケアマネージャーは対話や調整など身体に対して直接支援しないというイメージからの理由だと思います。

確かに理学療法士は身体的な介入はしますが、だからといってケアマネージャーが理学療法士より身体的に楽かと言われると、「No」です。

1つ目は、理学療法士として介助量のある患者に対して、負担を少なくする工夫ができるためです。

環境調整をして、少ない介助量で動作練習をしたり、他の理学療法士に担当変更するなどの工夫です。

2つ目は、直接身体的な介入のないケアマネージャーもそこそこタフだということです。

ケアマネージャーという立場上“イレギュラー対応”を求められることが多く、その対応に振り回されて、あちこち移動しなれければならないことがあります。1人の利用者にイレギュラーな対応を求められる頻度は多くないにしろ、担当が約40人もいることを考えると、そこそこの頻度で振り回されます。

身体的負担という面から外れるかもですが、理学療法士に比べ、本当に書類が多く、年齢を重ねてから不慣れな多い書類業務をするのは、それはそれで大変です。

 

前職が施設の相談員の50代の理学療法士と働いたことがありますが、ある程度工夫しながら理学療法士としてご自身のペースで働いており、前職の相談員の方が負担が多くしんどかったという話を聞いたこともあります。

 

理学療法士とケアマネージャーを身体的負担天秤にかけたときには、そこまで大きく理学療法士に傾くものではないと思います。

 

制度の勉強になる

試験勉強することで、介護保険などの制度の勉強になるということも聞いたことがありますが、全くそんなことはないです。

前記事で書いたとおり、ケアマネ試験は合格率ほど難しくないとはいえ、試験勉強はもちろんしっかりとやる必要はありますし、合格した後にも、研修(初回87時間 5年後54時間)もあり、理学療法士として働く中、試験、研修をこなすのはとても大変です。

そんな大変なのに、試験で覚えないといけない単語が多いだけで、それが現場に活かされることは少ない印象で、コスパは悪いです。

介護保険制度の仕組みを知りたいということであれば、ネットで学習する程度で十分です。

 

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給与面から考える

調査元は異なりますが、理学療法士とケアマネージャーの平均給与は同等額です(420~430万円?)

ただ、両職種の1人当たりの収益に関しては、理学療法士は月70万から100万円なのに対して、ケアマネージャーは月50万円程度と20万~50万円の開きがあります

人件費率としては明らかにケアマネージャーが高いです。

ここからは想像になりますが、経営者目線でいうと、単体での人件費率の高いケアマネージャーには収益以外の付加価値を求めことが想像できます。

例えば、担当者利用者のプランに、極力自社のサービスを入れることや、事務員の人件費を減らすために、ケアマネ―ジャーの業務以外の事務業務を兼務してもらうなどの+αを求められる可能性があります。

逆に言うと、付加価値がなく、同等の給料(年収430万程度)を支払っているのであれば、廃業のリスクが高くなるので、突然職を失うこともあります。

ケアマネージャーとして働くのであれば、こういった視点も必要になると考えます。

 

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どういう理学療法士ならケアマネージャー取得する価値はあるのか

ケアマネージャーという仕事に魅力を感じている理学療法士

理学療法士の仕事をネガティブに捉えての転職ではなく、純粋にケアマネージャーという仕事に魅力を感じて、純粋に理学療法士よりやりたいと思っている人は、先ほどの内容関係なく、ケアマネージャーになることへの異論は全くありません。

 

ケアマネージャーという職種特性を活かして、仕事に活かす

わかりやすい例でいうと、“独立”です。

仮に独立して、訪問看護ステーションやデイサービスを開設し、運営するとします。

自分が理学療法士として現場に出るパターンもありますが、自身がケアマネ―ジャーとして利用者が自社のサービス(訪問看護やデイサービス)を利用できるようプラン作成し、収益の安定化を図るというのもパターンとしてはありかと思います。

独立という大きな選択でなくても、ケアマネージャーという職種特性を活かして、自身の仕事の幅を広げることを目的とした資格取得であれば、取得する価値はある思います。

 

 

さいごに

基本的には理学療法士がケアマネージャーの資格取得をおすすめしない考えにある私ですが、今も理学療法士とケアマネージャーと兼務しているという矛盾した状況にありますので、そこについて最後少し書いておきます。

まず、ケアマネージャー取得を考えたきっかけは、独立を視野に入れていたためです。

色々思案した結果、独立しないという選択をしたため、ケアマネージャーを辞めることも考えたのですが、ケアマネ―ジャーとして非常勤勤務していることでのメリット(利用者の依頼など)や、ケアマネージャー事業所の社長にもお世話になっているので、御礼奉公的な意味合いで続ける選択をしました。また、たまたまですが、別件でケアマネージャーを続けていることでの新しい仕事の話も出ており、取得した当初の目的からは外れていますが、結果的にケアマネージャーを取得して良かった形になっています。

ただ、私の現状は結果的に取得して良かったとなっていますが、これは稀なケースであり、「ずっとやっていれば、思わぬ仕事に繋げることができるよ。だから、ケアマネージャー取得するのもあり。」とはなりません。理学療法士としての仕事の幅を増やす方法は他にもあると思いますので。

 

私見と状況に差があった今回の記事ですが、ご自身の理学療法士としてのキャリアに悩んでケアマネージャーを選択肢に入れている方の参考になればと思います。

 

最後までありがとうございました。

この記事を書いた人
なめろう

バランス重視のサラリーマンPT
訪問看護ステーション勤務

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