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理学療法士とお金の話 ~収益編~

全理学療法士向け
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なめろうです。

 

理学療法士とお金というタイトルで“収益編”“給料編”と2回にわたり、書いていきます。

 

普段、リハビリする中で、自分がいくら稼いでいるのか と考えている方は少ないかもしれません。

ただ、単位数のことで上司から言われたり、同僚と給料やボーナスがいくらなど、断片的に“お金”に触れたり、考える機会もあるかと思います。

私の印象として、“理学療法とお金”について断片的な捉え方をしているせいか、

単位、単位とうるさいな

リハビリをすることが仕事なので、お金のことをとやかく言われたくない

こんなに頑張っているのに、給与が少ない

とネガティブな話題になることが多いと感じます。

 

あまり理解していない中でのこういった発言を耳にすると、「社会人何年目にもなって、いつまでこんなことを言ってるんだ?」とあきれる感情を抱きますし、こう言っている人ほど仕事があまりできない印象があります。

 

今回の内容は、経営者でもない私が書くものなので、かなり初歩的な内容だと思いますが、このレベルでも理解しておくと、適切に仕事と向き合えるのではないかと思い、テーマにしました。

 

前編の“収益編”では保険診療下で働く1理学療法士が、一体どれくらいの収益をあげているのかについて

後編の“給料編”では、理学療法士の給与の考え方について書いていきます。

 

まずは“収益編”についてです。

 

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1理学療法の収益を3パターンで説明

今回の“収益編”では、3パターン毎で、1理学療法士がどれくらいの収益をあげれているか説明します。

  • 一般病院で勤務
  • 整形クリニックで勤務
  • 訪問看護ステーションで勤務

 

共通設定として・・・

勤務形態8時間勤務(残業なし)、月の平均出勤日21日(年間休日113日計算)

加算各施設で一般的に算定している加算はなしで計算

 

職場によって、施設基準、加算、対象者像、休日数、残業時間など異なります。

また個人によっても、勤務時間やリハビリ提供時間(単位数)など異なります。

ですが、それを考慮しすぎるとまとまらないので、ある程度シンプル化して、各パターンでの収益を出します点、ご理解ください。

 

 

一般病院での勤務

~設定~

脳血管、廃用症候群、運動器を対象に1日平均18単位のリハビリを実施

各割合が3:4:3とし、各々Ⅰの施設基準を満たしている

 

この場合の1理学療法士による収益は・・・

       月間 76万円     年間 912万円     (千円単位は四捨五入)

 

計算は以下の通りです。

脳血管 廃用症候群 運動器 合計
点数/単位 245点 180点 185点
平均単位数 18単位
割合 30% 40% 30%
1日平均点数 1323 1296 999
1日平均報酬額 ¥13,230 ¥12,960 ¥9,990 ¥36,180
月平均報酬額 ¥277,830 ¥272,160 ¥209,790 ¥759,780
年間報酬額 ¥3,333,960 ¥3,265,920 ¥2,517,480 ¥9,117,360

 

これは、上記設定の場合の数字ですので、加算なども加わると、年間で950万くらいはいくかもしれません。

仮に脳血管Ⅰの割合が100%で、毎週上限である108単位リハビリを実施した場合は、年間1,400万円近くの収益が理論上可能です。ただし、そうなると1日8時間以上働く必要があります。

逆に、廃用症候群の割合が多かったり、施設基準がⅡやⅢになってしまったり、平均単位数が下がると、もちろんですが、年間の収益はガクッと下がります。

 

整形クリニックでの勤務

~設定~

運動器Ⅰを満たしており、平均18単位/日のリハビリを実施

 

この場合の1理学療法士による収益は・・・

       月間 70万円     年間 839万円    (千円単位は四捨五入)

これは、先ほどの一般病院の表の運動器割合を100%にして計算したものです。

 

整形クリニックでは、平均20単位以上のところや、昼休憩の合間に訪問していると、年間で900万以上の収益をあげることが可能ですが、先述した通り、1日8時間以上働く必要があります。

 

訪問看護ステーションでの勤務

~設定~

介護保険:医療保険=8:2(私が勤務地での実態を参考)

1単位あたりの介護報酬単価10.7円(地域によって10円~11.4円の範囲がありますが、単純に真ん中としました)

平均6.5件/日 40分/件 (リハビリ時間だけでいうと病院の13単位相当)

 

この場合の1理学療法士による収益は・・・

       月間 93万円     年間 1,110万円   (千円単位は四捨五入)

 

計算は以下の通りです。

介護保険 医療保険 合計
訪問割合 80% 20%
1日平均訪問件数 5.2 1.3 6.5
1件当たり報酬額 ¥6,334 ¥8,550
1日平均報酬額 ¥32,937 ¥11,115 ¥44,052
月平均報酬額 ¥691,673 ¥233,415 ¥925,088
年間報酬額 ¥8,300,074 ¥2,800,980 ¥11,101,054

 

訪問は移動時間を考慮する必要がありますが、ご夫婦を担当したり、同じ建物内で続けてリハビリした場合、1日8時間の勤務内でも平均訪問件数が増え、収益を向上させることもできます。

また、医療保険の割合が多かったり、1理学療法士の訪問件数の上限はないので、8時間以上働いて平均8件訪問(16単位相当)できた場合は、年間1,400万以上の収益をあげることもできます。

ただ、訪問は病院に比べてスケジュール変更することへのハードルが高いので、急なキャンセルに対して、空いた時間を他の利用者で埋めることが難しいという面があり、安定して7件以上訪問するというのはそこそこのハードルがあります。

また、同法人内に病院があるなど新しい利用者が一定数確保できる職場を除き、利用者獲得のための営業努力がそれなりに必要になってくるため、安定した件数を訪問することへのハードルもあります。

 

 

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まとめ

施設や働き方によって差はあるものの、保険診療下で1理学療法士がであげられる収益は、年間800~1,100万といったところかと思います。

マンツーマン”   “実施時間に対しての報酬”   “単価が決められている”という保険診療下での理学療法の特性上、1理学療法士が他の1理学療法士と比べて何倍もの収益をあげることは保険診療下では無理です。

 

一方で、保険診療外で活躍している理学療法士も存在します。

経済力がある方を対象にした自費診療、集団を対象にしたサービス(セミナー事業やトレーニング事業)などなど。

保険という枠組みに捉われず、理学療法という資源を活かして、社会貢献ができることは素晴らしいですし、場合によっては、保険診療下と比べ、何倍もの収益をあげる可能性を秘めています。

ですが、日本における保険診療外の理学療法士の市場は大きいとは言えないのが実情で、その市場で安定的に収益を出すことはなかなかハードだと思います。(実際にやっていないので、想像レベルですが。。。)

 

 

次回(4週間後)の “給料編”では、お給料を支払う側の立場にたって記事を書こうと思います。

今回含め、理学療法士とお金の理解を深めてもらう記事になると思いますので、次回もよろしくお願いします。

 

この記事を書いた人
なめろう

バランス重視のサラリーマンPT
訪問看護ステーション勤務

全理学療法士向け
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