なめろうです。
「ずっと理学療法士続けていけるかわからないし、何か別の資格を持っていたほうがいいかも」
といったように、理由はひとつじゃないにしろ“理学療法士以外の道”を模索している理学療法士さんはいてるかと思います。
その“何か別の資格”の候補のひとつに、ケアマネージャーが挙げられることは割とあるかと思います。
実は私、副業としてケアマネージャーの仕事もしており、もう5年以上になります。
理学療法士でありケアマネでもある私なめろうが“ケアマネージャーの資格取得”についてを書きます。
ただ、2023年の試験申し込みが6月26日で締め切られているので、今年受けるか悩んでいた方には申し訳ないですが、来年以降に受験するかの参考にしてもらえたらと思います。(5月くらいに書いていればよかったです。反省です。)
まずは、ケアマネージャーという職業は知っているけど、あまり理解していない方もいるかと思いますので、“ケアマネージャーについて”を前編とし、4週間後にアップする後編では“ケアマネージャー資格取得についてのなめろう私見”をお送りします。
ケアマネージャーについて
概要
ケアマネージャー(正式名称は介護支援専門員)は、介護認定を受けた利用者が少しでも自立した生活を送れるように、相談に乗ったり、利用者と社会資源(主には介護保険サービスだが、自治体サービスや地域での活動など社会資源も含めている)を繋ぎ合わせることで、利用者様を直接的、間接的に支援する職種です。
ケアマネ―ジャーなしでケアプラン作成(自己作成)もできるのですが、複雑な介護保険制度のもと、利用したいサービスのための調整をすることは、素人がやるにはハードルが高いです。
しかも、対象となる利用者が高齢であることを考えると、ケアマネージャーという職業の社会的価値は非常に重要です。
ケアマネージャーになるまで
ケアマネ試験を受けるには、特定の業務(理学療法業務も含まれる)に通算5年以上の実務経験が必要です。
申込期限が6月下旬から7月上旬で、試験が10月頃に行われます。(年1回)
試験は計60問(介護支援分野25問,医療分野20問、福祉サービス分野5問)で、5肢複択形式になります。
合格率は20%前後と、理学療法士試験の合格率に比べて低いので、難関な印象を受けられる方がいるかもしれませんが、「受かったらラッキー」という気持ちで受験する人が割といて、実際に受けた私としても数字ほどの難関さはないという印象です。
そして、12月に合格発表がされますが、それで合格になったからといってすぐにケアマネージャーになれる訳ではありません。
合格した後は、翌年にある介護支援専門員研修(合計87時間)と3日間の実習を受ける必要があります。
その研修を修了して、やっと免許証(介護支援専門員証)が交付され、ケアマネージャーとして働けるといった流れになります。
なので、実際にケアマネージャーとして働けるのは、最短で理学療法士7年目となるわけです。
そして、ケアマネージャーには有効期限があり(5年)、免許が交付されてから5年以内に更新研修(54時間)を受講しないと、資格が失効されます。
業務内容
業務は大きく①訪問関連 ②書類関連 ③調整関連に分かれます。
①訪問関連
ケアマネージャーは、月1回は利用者宅にモニタリング訪問(生活やサービス状況を聴取し、問題がないか確認すること)することが基本ですが、利用者の状況によっては、何度も訪問することもあります。
ただ、他サービスに比べると、比較的訪問回数は少なく、時間も決められていないので、特に問題がないようであれば、数分で退出することもできます。
②書類関連
ケアマネ―ジャーが作成する書類は多いです。理学療法士でも割と多く感じている人もいるかもしれませんが、それよりもかなり多いです。(職業特性上仕方ないかもしれませんが・・・)
ケアプラン
利用者をどのように支援していくかを総合的かつ具体的にまとめた書類で、利用者の意向や各サービス内容や頻度などが記載された書類になります。
給付管理票
各サービスの具体的なスケジュールが記載された書類で、毎月この給付管理票を国保連という機関に提出して、各事業所の介護報酬が算定されます。
サービス担当者会議の書類
会議は介護保険更新や新しいサービスが導入を検討するなどのタイミングで開催され、利用者や各サービス事業者向けに方針や検討議題などが記載された書類を作成します。
支援経過記録
モニタリングなどで、利用者宅に訪問したときに様子や何かのイベント(入院したなど)があったときに記録する書類です。
③調整関連
ケアマネージャーは、利用者と社会資源を繋ぎ合わせるコーディネーター的な役割があるので、サービス時間の変更やサービス担当者会議の日程調整などの調整を利用者や各サービス提供者とやりとりし、調整することも求められます。
収益
ケアマネージャーの報酬は、利用者の介護度や担当利用者数で決められています。
人数や介護度の割合、加算などで増減はするとして、ざっとケアマネージャー1人が月であげられる収益は50万程度です。
以下、その詳細を書いています。
担当利用者数 | 要介護1~2 | 要介護3~5 |
40人未満 | 1,076単位 | 1,398単位 |
40人以上60人未満 | 539単位 (40~60人の部分) | 698単位(40~60人の部分) |
この単位に、地域区分によって分けられた単価(上が11.4円、下が10円)を掛けたのが報酬額になります。
今回は以下の仮設定で計算します
・利用者人数は39人(令和2年の調査では、全国平均がケアマネージャー常勤1名あたり39.4人のため)
・単価は10.7円(11.4円と10円の中央値)
・要介護の割合としては、各介護度毎に約8名(均等割)
↓ ↓ ↓
16人(要介護1~2)×1,076×10.7 + 23人(要介護3~5)×1,398×10.7=
528,258円
平均給与
令和2年度介護従事者処遇状況等調査によると、常勤ケアマネの平均月収は357,850円でした。
賞与額は不明ですが、最低でも年収は約430万円あるといえます。
以前に、理学療法士のお金をテーマにした記事で人件費率について書きました(病院では人件費率が60%以上になると経営的に危ないなど)。
月単位での収益と月収だけで考えると、ケアマネージャー単体での人件費率は80%以上と大きな数字であり、ボーナスを支給しているとなると、ケアマネージャーは経営的においしい職種とは言えませんね。
ただ、ケアマネージャー単体での収益性はいまいちでも、ケアマネージャーとしての付加価値を出すことで、経営的な整合性をとることもできます。
よくあるパターンとしては、ヘルパー事業所の併設です。
ヘルパーに限らずですが、訪問事業所は勝手に新規利用者が増える訳ではなく、ケアマネ―ジャーから依頼される必要があります。そのケアマネ―ジャーが自社にいることで、ヘルパーさんに多く仕事を振れるので、ヘルパー事業の収益が上げやすくなります。
余談ですが、特定の事業所が利益を独占しないように、特定事業所集中減算(作成したケアプランにある提供サービス総数のうち、同一のサービス事業者が80%超えている場合、減算となる)がありますが、集中減算にならないように法人を2つにして対応できたりもするので、減算する目的が果たせていない現状もあります。
さいごに
タイトルにある“資格取得の私見”には触れない内容でしたが、私見を書くにあたり、事前に知ってもらってほうがいいかなという思いでの構成にしました。
次の投稿では、概要の項目でも書きましたように、ケアマネージャーという職種自体は高齢化している日本において社会的価値があるという前提として、“理学療法士がケアマネージャーの資格を取得することは基本的にはおすすめしないという立場”で書く予定にしております。
基本的におすすめしないかの理由について、4週間後の記事をみていただければ幸いです。
コメント