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急性期病院で10年以上働いて感じたメリット3選

全理学療法士向け
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今週はりゅうぞうが担当する。

新しい年度になって半月が経過したが、そろそろ新しい体制にも落ち着いてきた頃だろうか。

私の病院にも新卒が入職し新しい体制になっている。当の新人も悪戦苦闘しながら日々頑張っている様子。徐々に理想と現実の狭間で葛藤することも増えてくるだろうが、各々良い意味で悩みながら、逞しく成長していくことを願うばかりだ。

前置きはここまでとして、そろそろ本題に入っていこう。

 

過去2回の記事において、私が実際に新卒からもう10年以上携わっている”急性期”という領域について、様々な角度で私見を述べてきた急性期病院で働く理学療法士シリーズ。今回はその最終回として、実際に理学療法士として急性期病院で働いて感じたメリットについて述べていきたいと思う。

急性期病院に興味がある方はもちろんのこと、実際に急性期病院で働いている方々にも興味深い内容になれば幸いである。

早速はじめていこう。

 

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私が働く急性期病院の概要

急性期病院と一言でいっても様々な種類があるため、まず私が勤めている急性期病院の概要と理学療法の実際について提示し、それをベースに話を進めていく。

 

病床数300床以上の総合病院

理学療法の対象は、脳神経・整形外科・呼吸器・循環器と多岐にわたる

手術症例が半分以上を占める。

それでは、上記を踏まえた上で、実際に働いた上で感じたメリットについて述べていく。

 

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経験すること = 能力向上なのか

「色々な疾患を診ることで勉強になると思ったからです。」

今はどうかわからないが、我々の新卒時代では養成学校卒業後に急性期病院を希望する人間が多く、その主な理由がこれだった。

実際に就職を志望する云々は置いておいたとしても、急性期病院のメリットとして上記を挙げる方は多いと思う。私としても異をとなえる気はないが、色々な疾患を診る=勉強になる(自分の能力向上)かは確実ではないと考える。

色々な疾患を診るというのは概ね期待通りだが、色々な疾患を診て受動的に得られる“経験を自分の能力向上に活かすためには、能動的な行動が重要となる。

確かに、実際に臨床場面で経験することは、経験してないものと比較して多くの情報を得ることができる。そういった意味において、経験すること自体で勉強になるのかもしれない。
しかしながら、その“経験“を適切に解釈できなければ、それ以降の臨床場面において、せっかく得られた”経験”を適切に使用することができなくなる。適切に使用できないとは、盲目的に得られた”経験”を他の事象へ適用させようとする姿勢のことを指す。

「俺の過去の症例は〇〇だったから、君の症例も〇〇だよ」

「今は〇〇と言われているようだけど、私の過去の症例はそうじゃないから信じられないな・・」

これらは、受動的に”経験”することに胡坐をかいて、能動的に”経験”を解釈することを放棄した人間の末路だと思っているまさに老〇。さっさと退陣してほしいわ・・・

そんな人間に対して、特に疑問を持たない方であれば、「急性期病院のメリットは色々な経験ができること」で十分であり、これ以降の文章は見なくて問題ない。

もし、急性期病院で働く上での、より深いメリットを知りたければ、このまま下にスクロールして頂けると幸いだ。

 

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理学療法士として急性期病院で働くメリット

さて、やや序論で熱くなりすぎたが、これから先もこういった文章が多く出てくると思われるので、ご容赦頂きたい。それでは本題へ。

まず先に、私が思いつくままに急性期病院で働くことによるメリットについて述べていこう。

 

検査結果や画像所見など、客観的指標が多く存在し、アクセスしやすい。

diseaseとImpairmentの時間変化がわかりやすい。

担当患者の回転が早いため、様々な症例を経験できる。

総合病院であれば、多くの疾患を経験できる。

リスク管理を意識する機会が多い。

診療科医師との連携が取りやすい。

以上、ツラツラと思いつく限り書き出してみた。おそらく気にしていないだけで他にもあると思う。

これらを俯瞰してみて、急性期病院で働くことによる本質的なメリットとしては以下に集約されると思う。

① 客観的指標の多さとアクセスのしやすさ

② 担当症例の多さと疾患幅の広さ

③ 病態の時間的変化の経験

それでは、この3つのメリットについて解説していこう。

 

メリットその1. 客観的指標の多さとアクセスのしやすさ

「検査とかほとんどしないからリスク管理ができない」

よく急性期以外の領域、例えば回復期や在宅で働く理学療法士と話をするとよく耳にする。

後半部分については疑問だが、前半部分の検査の頻度の少なさはその通りだろう。その点においては、急性期病院では高頻度に何らかの検査を実施することになるため、様々な検査結果を目にすることができる。
加えて、ほとんどの病院が電子カルテ運用になっていると思われるので、簡易にかつ迅速に検査結果にアクセスできる。

ではこの高頻度に実施される検査結果に容易にアクセスできる利点について述べていこうと思う。

とその前に、検査結果の意味合いについて整理しておく。

検査とは患者が持つ様々な”データ”を取り出す作業であり、検査結果とは取り出してきたデータになる。
このブログでいう“検査結果“とは、血液検査や生理機能検査、画像検査の結果ではあるが、いずれも何らかの器具や装置を介して行われるため、比較的客観性が高いものであり、信頼性に足るデータであるといえる(厳密に言えば主観的な要素も含まれるが、今回は置いておく)。

ポイントは、この客観性であって、この客観性が担保されていることにより、患者の病態について解釈し、治療方針を決定していくことができるのだ。

では、理学療法士にとってこの客観的指標がどういったメリットをもたらすのか。

基本的に理学療法士が取得できる患者のデータについては、検査方法の問題もあり主観的な要素が多い。主観的だから駄目という訳ではないが、実施者の考えによって歪んだデータを取り出してしまうリスクがある。

そこで、客観的な指標をミックスさせて、自信が取得したデータと照らし合わせることにより、より確からしい病態の把握が可能になると思われる。これらを何度か施行することで、主観的指標から客観的に妥当な解釈が可能となり、理学療法士としての判断能力の向上に繋がると考える。

いわゆる運動学習で言う“教師あり学習“のようなイメージだが、客観的指標の種類が多くかつ取得頻度が高い方が、頻回にその思考実験を行うことができる

そういった環境としては、圧倒的に急性期病院が得、というか急性期病院しか難しいと考える。

急性期病院は、採血検査結果などの客観的指標が多く、かつそれらにアクセスしやすことから、通常臨床において、客観的指標をベースにして、主観的指標を踏まえた様々なデータの繋がりを考慮する機会に恵まれるため、対象者の病態把握のスキル向上に役立つ環境である。

これが急性期病院で働くメリットその1である。

 

メリットその2. 担当症例の多さと幅の広さ

急性期病院に勤めていると、コンスタントに10〜15例ほどの患者を担当することになると思う。加えて平均在院日数が2週間と考えると、他の回復期や在宅で働くよりも年間で担当する患者数は明らかに多くなる。かつ、総合病院となると様々な疾患の患者を担当することにもなるため、経験する疾患の幅は広がる

例えば、人工股関節全置換術(THA)を積極的に実施している急性期病院で働いていると、必然的にTHAの担当件数が増えることになる。THAであれば術後2週間程度で退院になると思われるので、患者の回転も比較的速い。

そのような環境で働くと、THAという手術の概要やTHA後の経過、THA後の理学療法時の注意点などに触れる機会が多くなり、THAに関する様々な経験値が高まる

また、THAを多く診るということは、共通項の理解のみでなく、同時に共通していない項目についても経験できる。個人的には後者の方がより価値が高いと考えているが、これについては理学療法士の能力に左右されると思うので、万人が享受できるものではない。

 

 

逆に私が勤めているような総合病院であれば、THAの患者のみでなく、TKAや肩関節術後、なんなら脳卒中や心疾患などなど、様々な症例を担当する機会がある。それらの経験を通して、各疾患の病態や症状、治療などを診療業務を通して体験できる。これは教科書を読んで頭で理解するよりも様々な情報を得ることができる。

また、THAの例えとは逆に、異なる疾患での臨床場面において何かしら共通する項目を見つけることができるこの共通する項目は、言わば動物としての人間の特徴とも考えられるため、どの領域のどの疾患においても応用できる可能性を秘めている。

この機会を得ることができるのは急性期病院の特に総合病院で顕著であると思われるので、個人的にはかなり大きなメリットであると考えている。ただし、このメリットについても各理学療法士の能力に起因する部分が大きいため、限定的なものであることを付け加えておく。

 

 

以上が、急性期病院で働くメリットその2となる。

 

メリットその3. 病態の時間的変化の経験

まず何らかの疾患や怪我、手術の後などは、人体の生理的な反応によりその病態が大きく変化していく。この部分の時間的変化を経験できることは急性期病院で働く上での大きなメリットである。

この時間的変化を経験することがどういったメリットになるかについて、理学療法士ならお馴染みのICFを用いて説明してみる。

他領域と比較し急性期病院で大きく変化する項目は、ICFで言うところの”健康状態”にあたると思われる。ICFの表では各因子が相互に作用している様子を示しているが、正直なところ”健康状態”のインパクトは他よりもかなり大きいと思う(異論は認める)。

回復期病院や維持期・在宅ではこの健康状態がある程度落ち着いていることから、生活機能や背景因子をベースにアプローチを考えていくと思うが、急性期病院はこの健康状態が時間的に変化していく。健康状態が変化していくことにより、その他の因子についてもダイナミックに変化していくことになるため、各因子の繋がりについてより理解しやすくなる。

時間的変化があるということは、先週と今週、来週の異なる時期における各因子の繋がりを経験できることになり、同一症例であっても独立した経験ができる。逆に時間的経過を繋げて考えることにより、各因子の変化のベクトルが認識でき、介入すべきポイントを絞ることもできる。

ただ、これに関しても各理学療法士の能力に起因する部分が大きいため、人に寄りけりといったところ。

これらの様に、障害の基となる”疾患”について、時間的経過や障害との関連性について、幅広く経験することができ、同一症例からも多くの経験ができる可能性がある。これが急性期病院で働くメリットその3となる。

 

 

今回のまとめ

以上が、急性期病院で10年以上働いた経験を基に、私が考える”急性期病院で働くことのメリット”である。正直なところ、記事を書きながら内容を調整していったので、まとまりの無いものとなってしまったため、理解しにくい所も多々あるだろう。

もし意味がわからない点があったのならば、コメントをして頂けると、できる限り実例を用いて説明したいと思うので気軽にどうぞ。

 

さて、これで急性期病院の理学療法士シリーズは終了と思っていたのだが、今回の記事にちょくちょく出てきた、急性期病院のメリットを享受するための理学療法士の能力についてあやふやなままとなっている。

これを詳しく書くと、文字数が倍になってしまうと考えてお茶を濁したが、これらの能力については、次回以降に急性期病院シリーズの番外編として記事にしたいと思うので、気が向いたらこのブログを訪れてほしい。

 

それでは今回はこの辺で!

 

”普通に働いてたら、愚痴の一つや二つや三つぐらいは言いたくなるよね。人間だもの。”
(´-`).。oO

この記事を書いた人
りゅうぞう

生理学好きのギャンブラーPT
経済と投資について勉強中!!

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