こんばんは、卵屋です。
今回から私が働く回復期病棟について色々書いていこうと思う。
今回は理学療法士のタイムスケジュールについて。回復期病棟で働く理学療法士が一体どんなタイムスケジュールで動いているのかについて書いてみる。
回復期病棟への就職・転職を考えている方、ただの興味や諸々の事情で他の回復期病棟を知りたい方の参考になれば幸いである。
回復期病棟の1日のタイムスケジュール
8:30 出勤
8:30〜8:50 情報収集・予定調整
8:50〜9:00 朝礼
9:00〜12:30 臨床(9単位)、カルテ記入
12:30〜13:30 昼休み
13:30〜17:00 臨床(9単位)、カルテ記入
17:00 退勤
一日の流れをざっと書くと上記の通りだ。
以下に細かく解説していく。
8:30〜8:50 情報収集・予定調整
8:30までに着替えてタイムカードを押して業務スタート。
朝礼が始まるまではカルテチェックと予定の調整時間。
その日にまわる患者さんの情報収集を行ったり、溜まっているメールのチェックをしたり、9:00から開始する臨床業務に向けて準備をする時間である。
回復期病棟は365日のため、スタッフが全員出勤する、あるいは全員休むみたいな日は基本的にはない。毎日決まった人数誰かが休みを取り、1日の出勤人数が均等になるように調節される。
そうすると、出勤している職員は休みの職員にメール等で色々と情報を伝達しなければならないし、休みの職員は休んだ日の状況を把握しなければならない。
休み明けの朝はいつもバタバタだ。
実際はそれらを処理するために出勤時間より早めに来て準備をしているスタッフが多い。朝残業というやつだ。もう少し朝に余裕が持てればいいが9:00から臨床が始まることを考えるとなかなか難しい。極力、個人の努力による情報伝達ではなく病棟としてシステマチックな情報の共有が重要なのだが、そこまで職員に配慮した病棟があるのかは疑問。多くは個人の努力にゆだねられる。
とにもかくにも朝は忙しい。
8:50〜9:00 朝礼
病棟との合同朝礼。
患者さんの夜間の様子、発熱や状態悪化などがないか、転倒がなかったか、本日の検査、カンファレンス、など諸々を対面で確認する時間。
病棟と合同で朝礼するのが一般的なのか少数派なのか分からないが、病棟職員が顔を合わせて「おはようございます」と朝がスタートするのはどことなく気持ち良さを感じるおっさんPTである。
10分程度のわずかな時間で諸々を確認し終了する。
当院ではこの後にリハスタッフ・病棟スタッフ合同で患者さんのADLについて情報交換を行っている。
具体的にはリハビリスタッフから患者さんのADLについての発信(例えばAさんの病棟移動を歩行器歩行自立に上げたい)や、病棟スタッフからのADL・自室環境の提案(例えばBさんの部屋環境をこうしてみてはどうか)などで、患者さんのADLや環境について合同で協議する。
その他、転倒リスクのある患者さんについてどう対応するかを話し合ったりもする。
9:00〜12:30 臨床(9単位)、カルテ記入
患者さんとの個別リハビリの時間。
回復期では個別リハに時間をかけられることが特徴の一つ。3単位(60分)もしくは2単位(40分)を主に3~4人の患者さんを午前中に実施する。まれに1単位(20分)の患者さんを実施することもあるが稀。多くは2単位以上の時間が設けられている。予定調整ツールを使いPT・OT・STの時間が重ならないように調整する。
また当院はPTの割合が多く各職種1日1回とは限らず、PT2単位を2回ということもある。そのあたりは患者さんのリハビリ必要性に応じて調整する。
リハビリが終わるとカルテを記入する。患者さんと患者さんの合間に入力したり、3~4人まわってしまって後からまとめて入力するなど方法は自由である。3時間半の時間を使って9単位とカルテ記入までを済ますことが現場職員に課せられた業務となっている。
12:30〜13:30 昼休み
昼休み。
お昼ご飯を食べてぼーっとする時間。
スマホを見たり、寝たり、職員同士で話したり、一般常識やモラルの範囲内で基本的には何をしてもよい。
が、実際にはここで書類業務などの仕事をする職員も多い。午前中の仕事が片付かなかったのか、早く帰るために少しでも業務を終わらせておきたいのか理由は分からないが、なんとも熱心なことである…。
私?
私は当然文献を読んだり、理学療法関連の動画を視聴したり、自己研鑽のために日々勉強、研究データを取ったり、職員同士で触診の技術練習をしたり…、理学療法の未来を思うと休んでいるヒマなど一秒もない!昼の時間はいつも忙しくしている!という夢を昨日見た。
13:30〜17:00 臨床(9単位)、カルテ記入
一眠りすると午後の個別リハビリ時間。
午前中同様3〜4人の患者さんのリハビリにまわる。と、同時にカルテを書く。
臨床、カルテが終わると翌日の準備。予定の確認や患者さんの情報収集、代行の申し送りなど退勤ギリギリまで仕事をしている。
当院では午前、午後合わせて18単位の取得が基本的なノルマとなっている。とは言え後述するカンファレンスやその他の業務で臨床時間が削られるため、あくまでも何もなければ18単位の設定となっている。このあたりのノルマ設定は各病院によって違い、他の病院の話を聞いている分には割と緩いノルマだそうだ。労働者としてはありがたい。
17:00 退勤
タイムカードを押して着替えて帰る。
声をかけられて余計な業務が増えないよう一早く病院を出るのが吉。
その他の業務
ここまでが、基本の流れで、「イベント」のない日曜日や祝日は上記のスケジュールで動くことが多い。
が、当然回復期病棟の業務はそれだけではない。
ここからは基本のスケジュールにはない業務についてみてみる。
カンファレンス
①スタッフカンファレンス
スタッフ間で情報を共有したり方針を定めたりするカンファレンス。当院では全患者さんを2週間に1回の頻度で実施している。主治医ごとに時間が決まっていてその時間に合わせてスタッフが集合する。主治医、看護師、セラピスト、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーが主に参加する。
➁家族カンファレンス
本人、家族(キーパーソン)を交えて実施するカンファレンス。現状の報告や自宅復帰に向けた課題の整理、スタッフカンファレンスで立てた方針の説明、入院期間の目安など、当事者である本人・家族に説明し共有する目的で行われる。逆に本人・家族からの質問や不安に対しても答える。
退院が近づくとケアマネジャーも参加し退院に向けた諸々の確認を行う場にもなっている。当院では基本的に月に1回の頻度で行われる。
(主治医)、看護師、セラピスト、ソーシャルワーカーが参加する。
主治医をカッコにしたのは当院では毎回主治医が出る訳ではないからである。どうしても主治医が出ないと話がすすめられないケースは主治医が参加するが基本的にコメディカルだけで頑張ってね、となっている。いや、医者が病態の説明をしないでどう頑張れというのか…。本人・家族からクレームが出ないのが不思議でならない。という愚痴はそっとしまっておこう。次期診療報酬改訂では是非「主治医がカンファレンスに参加する」が入院料算定の要件に明記されることを期待する。
事務作業、書類業務
総合実施計画書、リハビリサマリー、目標設定等支援・管理シート、FIM入力…等々、必要書類について作成する。
これらをどの時間にするかは個人に任せられている。
カルテの合間でもいいし、全部終わった夕方に始めるスタッフもいる。このあたりの業務管理のうまさが残業時間に影響を及ぼしている節はある。きちんとやらなければならない書類業務の優先順位が整理されていて、必要なタイミングで書類を作成できるスタッフは残業が少ない。一方で行き当たりばったりでギリギリになって気付いて作り始めるスタッフは残業が多かったり、昼休みを削ってやっていることが多い。
このあたりは「理学療法士」というより「仕事人」「社会人」としての意識やスキルが求められる。
理学療法士は、「理学療法士である前に社会人であれ」ということなのだろう。
委員会
安全委員会、感染委員会、褥瘡委員会、NST委員会…等々、病院という組織は各種委員会を立ち上げて組織運営をおこなっていることが主だ。例外なく当院も委員会があり、割り振られたリハビリスタッフが参加する。
あるいは病院全体の委員会でなくてもリハビリ科内での「係」も割り振られ、例えば「装具を管理する係」や「書籍を管理する係」など細かく決まっている。主な活動内容は定期的な(多くは月1回)チェックを行い所在不明のものがあると発信し確認するといった具合で係により管理されている。物品管理は組織の基本、重要な役割である。れっきとした業務に位置付けられ、当院では単位を削って係の仕事をすることが認められている。
まとめ
今回はリハビリ職員の一日のタイムスケジュールについて書いてみた。
私自身も他の回復期病棟のリハビリスタッフがどのようなスケジュールで動き、ノルマがどうなっているかなど常に気になりながら働いている。
同じ思いで働いている理学療法士の参考になれば幸いである。
続きの記事→回復期病棟で働く理学療法士が回復期病棟を語る2(制度の表と裏)
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