なめろうです。
「理学療法士として、最も必要な能力は?」
こんなテーマで、友達や同僚の理学療法士と話をすると楽しいですよね。
「技術が大事だ」「知識が一番必要だろう」など様々な意見があると思いますが、私が最も必要な能力は“コミュニケーション能力”と考えます。
ということで、今回は“コミュニケーション能力”、そして、その能力に関連のある“EQ(Emotional Intelligence Quotient)”について書いていきます。
なぜコミュニケーション能力が必要な能力なのか?
理学療法士による介入は、ほとんどがマンツーマンで、他職種と比べその時間が長く、また運動療法や環境調整など口頭で指示や提案することが多いという側面があります。
こういった側面があるため、コミュニケーション能力が乏しいと、持っている知識や技術が十分に活かされにくいという特性があるため、コミュニケーション能力が必要だと考えます。
ある二人の理学療法士がいて、あくまで感覚的なものですが、各能力を以下のように数値化できたとします。
AとBの各数値の合計は同じ(16)ですが、この数値をある数式(私が勝手に考えた概念的な数式)に当てはめて、能力値を出したとすると
こんなイメージになります。
EQについて
まずは、EQという言葉自体を聞いたことがない方もおられると思いますので、簡単に説明します。
EQの概要
EQとは、心の知能指数を指し、1990年代にアメリカの心理学者ダニエル・ゴールマンが提唱しました。
EQと聞いて思い浮かぶのものとしてIQ(知能指数)があり、知能を数値化したものになります。
かみ砕いた表現でいうと、頭の賢さがIQとすると、EQは人柄のようなものだと個人的には解釈しています。
なぜEQに着目したのか
こんな発言って聞いたことがありませんか?
「あの人は、良い大学出ていて頭は賢いかもしれないけど、仕事ができない」
この発言のように、頭の賢さだけでは社会で通用しないことって実際あります。
そういった事実の積み重ねから、頭の賢さ(≒IQ)以外の指標としてEQが着目されはじめ、EQが機能することで、IQやスキル、業務知識が活きると言われるように、人材の必要な要素してEQが重要視されてきております。
そして、コミュニケーション能力を求められる理学療法士の世界でも同じことが言えると思うため、着目しました。
また、着目したもう一つの理由として、EQはIQと異なり遺伝的要素が少なく、学習や訓練によって伸ばすことのできる能力だという点です。
先天的な能力であればどうしようもないですが、自分の努力で高められ、かつそれが社会で活きる力になるのであれば、向き合う価値はあると思います。
EQの構成能力
EQについてもう少し深堀していきます。
EQは以下①~④の能力で構成され、①→④の経路をたどります。
自分自身の感情や、周囲の人たちがどのように感じているかを知覚し、識別する能力
状況判断や課題達成のために自分の感情をつくりだしたり、相手に共感することができる能力
自分や他者にその感情がなぜ起きて、どのように変化するかを理解する能力
他者の感情に適切かつ効果的に働きかける行動をとるために、自分の感情を調整したり、操作する能力
簡単な事例を出して、説明します。
~事例~
Aは日頃から気にかけてもらっている先輩からある仕事を頼まれたが、失敗してしまい、そのことで先輩からきつく叱られた。
EQを発揮したAの思考
・先輩はAの失敗に対して怒っている・Aも怒られたことに気分が悪くなっている
・しかし、先輩が叱るのは自分のことを思ってのことであり、むしろ感謝すべきことではないのか・自分が先輩の立場であっても、同じように叱ると思う
・先輩は自分が嫌いで叱ったわけではなく、つまらないミスをしたことに失望しているのだろう・ここで自分が感情まかせに反発したり開き直ると、さらに先輩の怒りを買うことになるだろう
・先輩は自分に期待してくれており、その期待に応えられなかったことを素直に謝るべきだ
以上の思考を辿ったAは、素直に謝罪し、その態度に対して先輩は理解を示し、両者の関係は崩れることなく良好な状態を保てた。
このように瞬時に4つの経路を辿ることでEQを活用し、様々な人間関係を処理しています。
優れたEQを発揮し、良好な対人関係を構築し維持するためには、4つの能力は欠かすができないといわれています。
自己のEQを簡単にチェック
さいごに、あなたのEQ自己チェックしてみましょう。
以下の各質問に、自分がどの程度できると思うか、1から5段階で採点します。
1点:ほとんどできない 2点:あまりできない 3点:ふつう
4点:できるほうである 5点:よくできる
・自分が何を感じてるいるのかを、いつも理解することができる
・自分の気持ちの変化を敏感につかんでいる
・しぐさや表情で自分の感情を伝えることができる
・相手の表情やしぐさから、相手がどんな気持ちでいるかがわかる
・話をしている相手の、表情の変化を見逃さない
・人と話をするとき、言葉だけでなくその人の身振りや表情にも注目する
・集中して作業を行うために、自分の気持ちをうまく整えることができる
・課題解決のために、その場のムードを適切に変えることができる
・相手が感じている気持ちと同じ気持ちを感じることができる
・風景の写真を見て、そこに自分がいるような感覚をイメージできる
・テレビドラマの登場人物の気持ちがよくわかる
・いつでも相手の身になって話を聞くことができる
・相手が怒っているその理由が何かがわかる
・悲しいという感情でも、程度の区別をつけることができる
・感情を表す言葉をたくさん知っている
・相手の気持ちがどのように変わっていくか予想できる
・相手がなぜそのような行動をとるのか、その動機を理解できる
・同じ出来事でも、相手のとらえ方が自分とは異なることを理解できる
・気持ちが動揺しているときでも、表面では冷静さを維持することができる
・感情的になったときに、どのように対処したらよいかを考え出せる
・物事がうまくいかなかった状況を、適切に切り抜けることができる
・人間関係のトラブルを、相手の気持ちに配慮しながら解決できる
・相手が落ち込んでいるときに、励ますことができる
・気まずいことがあった相手とも、うまく関係修復ができる
点数は4つの能力ごとに各30点満点としており、以下が目安になります。
25点以上:きわめて高い 20~24点:高い 11~19点:ふつう 10点以下:低い
さいごに
今回は、“コミュニケーション能力”とそれに関連のある“EQ”について書きました。
いい理学療法を提供するために、学習したり技術を磨くことも大事ですが、コミュニケーションやEQに着目し、コミュニケーション能力を磨いて、これまで得たスキルを最大限に活かしてもらえればうれしく思います。
さいごに、今回の記事を書くにあたって、参考にしたEQの書籍です。
これには、EQをどう伸ばすかというトレーニングも書かれております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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