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呼吸の本質的な意味について考えてみる

全理学療法士向け
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さて、過去4回に渡って様々な角度からSpO2について述べてきた。

 

一通り目を通して頂けると、SpO2を臨床場面にて用いる上での最低限の知識は備わっているだろう。

 

しかしながら、SpO2は臨床場面での呼吸を診る上での代表的な指標の一つに過ぎず、”呼吸” を深く解釈するためには、より幅広い視点から考えられるとなおよい。

 

私自身が「生理学を深く理解し、臨床を興味深いものにする」をモットーに、日々の学習を進めていることもあり、この生理学に対する視点を多くの人にも共有できたらと考えている。

 

ゆえに私の記事についても生理学を基にした話が多いし、今後もどんどん増やしていくつもりだ。

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“生理学“を考える

話題は変わるが、このブログを見てくれている皆様は、”生理学”についてどういった印象を持っているだろうか。

 

個人的な調査によると、約8割の理学療法士が”苦手”もしくは”よくわからない”が占めている。ただ、解剖学や運動学はそこまで忌避される印象はない。

この原因として、解剖学や運動学に比べると、生理学は視覚的にイメージしにくく、教科書に書いているような文字だけでは、理解しにくいからではないかと考えている。

ゆえに、視覚的にイメージしやすくするために、イラストを多数用いた参考書も多くでているので、導入としてはオススメである。

 

ただ、私自身は視覚的にイメージできるようになるのみでは生理学の奥深さに触れられないと思っている。

生理学を色々勉強していくとわかってくるのだが、一つ一つの反応に目的がある。結果としての生理学的な反応だけでなく、その目的を理解できるようになると、より生理学への理解が深まると考えている。

ゆえに、このブログでは視覚的なイメージに目的を加味できるように、”例え”を多用していく予定である。

 

私は、生理学という学問がとても興味深いものと思っており、生理学が苦手という方はその興味深さを理解していないだけと考えている。

それを理解してもらうためには、日々の臨床に直結する”呼吸循環”に関する生理学から解説した方が導入としては入りやすく、特に呼吸についてはリハビリテーション領域に関しても関連が高くかつ重要性も高いため、SpO2という指標についての説明を進めてきた。

 

ただし、先ほども述べたように、SpO2はあくまで呼吸の側面の一つでしかなく、SpO2を理解する上では十分な内容だが、”呼吸とは?”というより大きな命題を考える上では各論的すぎる内容である。

 

臨床場面を考える上では、今までの内容で大きな問題はないだろう。ただそれのみだと、呼吸や循環、生理学の面白さは伝わらない。

 

というわけで、今回の記事は、「呼吸とは?」という大きな広い命題に関して、生理学的見地から解説しつつ、皆さんの生理学アレルギーを少しでも緩和できるような、臨床にも役に立つような記事にしていきたい。

 

 

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呼吸はなぜ必要か?

呼吸と循環は大事です!!

医療に従事するものであれば、常識中の常識。
だからこそ、バイタル測定というものは当たり前のように行われている。

 

では、呼吸と循環はなぜ大事であるか?について考えたことはあるだろうか。

呼吸と循環が止まれば死ぬから!

間違いではないが、裏を返せば ”生きていくために呼吸と循環が必要”ともいえる。

 

では生きていくために呼吸と循環は何をしているのだろうか?

細かく言えば多数の役割が存在するものの、最も重要な役割は、酸素を組織に運ぶこと!

これに尽きると思う。

 

そして、その酸素が必要な理由としては、生命活動に必要不可欠である、アデノシン3リン酸(ATP)を持続して生成するために必須であるからだ。

ゆえに、溺れたり、餅を喉に詰まらせて窒息するとATPが産生できなくなって死んでしまうことになる。

つまり、呼吸と循環の役割について考えるときは、酸素の需給 を軸にして考えると理解がしやすくなる。

 

さて、ここで”酸素”について少し考えてみる。

化学で用いる酸素の分子式は、O2である。今まで述べてきたSaO2PaO2にもO2が含まれていることから、これらは酸素に関わる指標であることがわかる。

過去記事の内容のおさらいになるが、SaO2(SpO2)は動脈血に含まれるヘモグロビンの内、酸素が含まれているヘモグロビンの割合を指す。(PaO2は動脈血中の酸素の分圧であるが、説明すると長くなるため今回は省く)

 

私が何度も用いてる回転寿司の例えでは、組織(細胞)が・酸素が寿司・ヘモグロビンが・あと皿が回っているレーンが血管といった感じである。(下図参照)

 

そして、SpO2は客に向かってるレーンにおける寿司が乗っている皿の割合を表される。

 

さて、ここで呼吸循環の役割を回転寿司の例で表すと、客(組織)に寿司(酸素)を届けることとなる。

であれば、SpO2(寿司の乗っている皿の割合)が問題ないのであれば、客に寿司は十分に届いている、つまり呼吸循環の役割は果たせていると考えてもよいのだろうか?

 

実はそうとも言えない…

 

寿司が十分かどうかは、客に送られる寿司の量のみでなく、客が必要としている寿司の量によっても決まるからだ。

つまり、寿司の需給が満たされていることによって、呼吸循環の役割が果たされていると判断できる。

 

では、需給を満たすかどうかを考える上で重要な、”客が必要としている寿司の量”について考えてみよう。

 

実際の回転寿司であれば、客が寿司を食べ始めるとどこかのタイミングで腹が満たされることで、寿司が不要となり、客は退店することになる。

 

ただ、組織に関してはそうはいかない。

運ばれてくる寿司はすぐに消費され、常に新たな寿司が必要となる。つまり、この寿司の需給関係は生命が生きている間は止まることがない

 

これが何らかの問題によって需給関係が破綻することは、すなわち組織の死に直結することを意味し、この組織が脳細胞であれば脳梗塞、心筋細胞であれば心筋梗塞といった病気になる。

 

というわけで、必要な寿司の量というのは、単なる量で表されるのではなく、時間という概念が重要となる

つまり、食いだめはできないのだ。

そして今まで述べてきたSpO2は、とあるタイミングでの酸化ヘモグロビンの割合でしかなく、時間の概念が含まれていない

 

いくら流れてきている皿に寿司が十分に乗っていようとも、皿自体の総数が少なかったり、レーンの流れが遅すぎると、時間的な概念で考えると寿司の需給関係が破綻する。すなわち客は十分に腹を満たすことでできなくなり、いずれは餓死してしまうということだ。

今まで述べてきたSpO2やPaO2については時間の概念がなく、本質的には酸素需給が満たされているかどうかが判断できない。

では、時間の概念を含んだ指標は存在するのだろうか?

 

という訳で、ここから先は次回以降に深堀していきたいと思う。

 

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まとめ

というわけで、今回は呼吸と循環の本質的な意味について考えてみた。

呼吸と循環は大事というのは周知の事実だが、案外なぜ重要か?を考えてみるとよくわからないものだろう。

 

次回は、呼吸循環の役割が果たせているかどうかを考える上で重要な指標について述べていきたいと思う。

 

差しあたって皆さんに考えてもらいたいことがある。

動脈血酸素飽和度であるSaO2の正常値は約98%であることはお分かりと思う。もはや一般人レベルでも常識かもしれないが。

 

では、静脈血の酸素飽和度(SvO2)はどれくらいか知っているだろうか?

 

案外知らない人や考えたこともない人も多いのではないだろうか。

 

普通にGoogleなどで調べてみたら、簡単に答えにたどり着けるだろうが、それ数値を知ったのみでは呼吸を理解したとは言えないだろう。

 

このブログを見て呼吸循環や生理学に興味がわいたのならば、次回以降の記事も楽しみにしてもらいたい。

 

それでは今回はこの辺で!

 

 

”実は同じ生理学の本でも著者の分野によって内容の深さが違うんだよね。呼吸循環に興味があるならガイトン生理学がオススメ!”
(´-`).。oO

この記事を書いた人
りゅうぞう

生理学好きのギャンブラーPT
経済と投資について勉強中!!

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