こんばんは卵屋です。
前回に引き続き、「転職する理学療法士の心得」について書く。
今回は「転職後の立ち回り」について、中途職員は転職後どう立ち回ればよいのかについて解説する。
前回の記事はこちら
→転職する理学療法士の心得1(面接)
転職してからの心得
中途職員に対するまわりの目
まず、中途職員に対してその組織にいる人たちはどういう目で見ているかを知っておいて損はないだろう。
中途職員に対してまわりは大きく2つの軸で見ている。
②理学療法士として優秀かどうか
私の肌感、「①:②=7:3」くらいの割合で見ている。
それぞれ解説する。
①組織で働く人間として優秀かどうか
組織で働く以上、周囲と良好な関係を築く能力は当然のように求められる。
まわりの人たちは転職してきた「何者かわからない人」に対して、「どんな人間なんだろう?」と警戒する。
挨拶をしているか、話しやすい人か、初対面の人に敬語を使っているか、年上や経験が上だからと横柄な態度を、ちゃんと話が伝わる人か…など、まずは「変な人じゃないか」を評価する。
その上で、仕事が出来るかどうかを評価する。
論理的に物事を考えられているか、業務や指示に対する理解力はあるか、頭の回転は速いか、言葉の裏や背景を読み取ろうとしているか、優先順位を適切につけられているか、タスクの整理ができているか、細かな作業の抜けがないか、仕事の色んな視点におけるバランス感覚はどうか、…など「理学療法士」としての前に「仕事をする人」としての能力を測る。
さらに、仕事のスタンスについても評価する。
バイトのノリで「仕事だるいな~」なスタンスか、「組織のために身を粉にして働きます!」な感じか、など仕事に対する熱量を測る。この辺りは人によって自分(評価者側)の属性に近いかどうかを見ながら善し悪しを判断している。管理職側からすると言うまでもなく組織のために一所懸命仕事をする人であって欲しいと期待する。
そしてそれらを総合的に判断して、それぞれ(現場スタッフや管理職)の立場で「組織で働く人間として優秀かどうか」を評価する。
これらの評価が低いと「変な人」「なんか合わない」「苦手だ」などのレッテルを貼られ、組織の中で浮く可能性が高い。
逆にコミュニケーションがきちんと取れて、真面目で、熱心なスタッフは好まれる。当たり前すぎるがなんたかんだ叫んだって結局このあたりが一番みられる。
②理学療法士として優秀かどうか
次に、理学療法士としての能力を評価する。
基礎知識はあるか、評価の概念や手順を理解しているか、評価は正確か、評価した内容を論理的に組み立てられているか、治療や介助技術はどうか、患者さんとのコミュニケーションはうまく取れているか、…など理学療法士として働くために必要な能力を評価する。
ここの評価が低いと「理学療法士として微妙な人」という目でみられる(正直このあたりはそれぞれの持つ理学療法観によって評価が変わるところではあるが…)。
組織人として、社会人として問題なければそれでOKということはもちろんなく、理学療法士としての力量もきっちり評価されている。
このように、中途入職した時点でまわりの人たちはめちゃくちゃ見ている、ということを知っておいて損はないだろう。
ちなみに私は年数だけ聞いて最初の段階ではこんな感じで内心見ている。
3~5年目:「PTとして調子に乗り始める時期だけど…大丈夫かな?どのタイプか早めに見極めないと。」
6~9年目:「正直めちゃくちゃ期待しています。即戦力になってくれよ、よろしく頼むぜベイビー。」
10年目~:「良い人かな…やばい人かな…どっち?やばい人じゃなければとりあえずOK。」
経験年数は高ければ高いほど良いというものではなく、10年目を超えてくるとある種のギャンブルだと思っている。
なぜなら経験年数が高いほど、年齢を重ね、価値観や理学療法観が固定化され、変なプライドも持ち、引いては周囲に合わせて柔軟に考えを変えていくことが難しいから。
自身の考えと組織の方針が違った場合にそれを修正・矯正することはもはや不可能。とんでもないやつが入ってきて苦労したという経験は少なからずしてきた(もちろんそうでない人もいる)。
一から教えずに済む経験者が欲しいけど、経験年数が高すぎるとそれはそれで敬遠する。組織というのはわがままだ。事実そう思っている管理者がいるという事実を知っておいて損はないだろう。
入った直後の立ち回り
さてさて、まわりの目がどうかわかったところで、ではどういう立ち回りをすると良いのか。
特に転職したての頃はそのイメージが長く定着するため最も大事だ。
是非私のような失敗をしないように心してかかってくれたまえ。
①謙虚であるべし
前回の記事でも伝えた通り基本的に日本人は謙虚な人を好む。それはもう圧倒的多数が。
そこへきて理学療法士という職種は「意外と謙虚じゃない人が多い」。
国家資格という大層な称号を頂いたせいか、はたまた普段患者さんから感謝される環境のせいか、プライドが高く素直じゃない理学療法が多い。
これは中途入職者にとって最大のチャンス。この謎めいた状況を利用しない手はない。
つまり、謙虚に振る舞いさえすればそれだけで一定の評価が得られるという寸法だ。
いやはや楽なもんだ。
「ありがとうございます」
「すいません」
「いえ、全然大丈夫です」
「あ、自分がやります」
「助かります」
「すいません、よく分かっていないので教えていただきたいのですが」
「基本的なことを聞いて申し訳ないのですが」
このあたりの言い回しを多用しながら、元気よく、控えめに、出しゃばることなく仕事していればそれだけでそこそこの評価が得られるのだからこんな素晴らしいことはない。
是非実践してくれたまえ。
②誠実に働くべし
中途入職、特にある程度経験を踏んでから転職する組はなまじ仕事の要領を知っているがため、手の抜き方も知っている。
が、特に転職したての頃はサボろうとしないことだ。リスクだ。
客観的に見て「無駄だな」「効率が悪いな」と思う業務であってもそれを個人判断でやらなくていい理由にはならない。そこで決まっているルールはどんな事情があれ、そこではやらなくてはならないことだ。自分判断で勝手に手を抜くとたちまち「仕事をちゃんとしない人」と判断される。
また、転職したての頃は往々にしてその環境での優先順位を見誤りがちだ。前職場であまり重要視されていなかったことが、新しい職場では優先的にこなすべき業務に扱われているケースがままある。
自分では要領よく仕事をこなしているように思っていても、実は優先順位が違ってまわりに迷惑をかけていては、さるに烏帽子、遼東の豕、夜郎自大…とまわりから疎まれてしまう。
転職したての頃はどんな業務であっても一つ一つきっちりとこなす意識を持つことをおすすめする。
③新職場の流儀に従うべし
②と重なる部分もあるが、先述のように新しい職場では、その職場特有のルールや決まりごとがある。
そこには無駄と思えることや、効率が悪いと感じる業務などたくさんの仕事がある。
そんなときに中途入職者がよくやってしまいがちなのは「前の職場では」と言ってしまうこと。
危険だ。やめておけ。
いくらそこに正論が詰め込まれていても自分の主張を通すために前職の話を持ってくるのは禁じ手だ。
新しい職場の人間(特に管理職)からするとロジックの問題ではなく感情が許さない。「生意気な奴だ」「前職のルールがいいならで前のところで働けば」と心の中で思われてしまう。
「前の職場では」は基本的に禁句。自分の意見を通したいならなおさら使わないことだ。最低でも入職後6ヶ月くらいは使わないことをおすすめする。
慣れてきた頃の立ち回り
次にある程度期間が経ち、まわりともコミュニケーションが取れてきて自分のことを分かってもらってきた頃の良い立ち回り方について解説する。
これも年数によって違うが、ここでは中堅と呼ばれる層の立ち回りについて解説する。年数でいうと6~9年目くらい。
ずばり「自分を出していけ」である。
あれ、さっきまで謙虚で控えめにって言ってたのに…と思われた方もいるだろう。
今度は真逆、積極的に自分を出していけ。
その相手は「近い管理職」。
その理由は、実は病院組織は他の病院経験者の意見を欲しがっているから。
そう、大きな組織であっても管理職は探り探り職場のルールを作っているのだ。
2年に一度改定される診療報酬、管理職はその都度その変化に合わせて職員の働き方を考え職場のルールを作る。そしていくら優秀な管理職であっても簡単に完璧なルールなんて作れない。
ルールやマニュアルは組織が大きくなるほど各科単体で完結するものはなく、色んな職種の色んな事情を踏まえた上で作られる。どこかを動かせばどこかにしわ寄せがくる、その様子はまるでスパゲッティー。麵と麵が複雑に絡み合うかのごとくそれぞれの都合が複雑に入り組み、もはや解きほぐすのは困難となっている。
それでも制度の変化に合わせてルールを修正していかなければならない。
そんなときに最も参考になるのが、「他の病院ではどうしているか」である。
制度は同じ、環境も似ている(回復期なら回復期など)なら、よそがどうしているか聞きたいと思うのは至極当然の論理。
そこへきてその情報を持った中途職員が入職してきた。これを使わない手はない、と実は同じ環境から来た中途職員にとても期待している。
「初期評価」が終わり、「この子なら貴重な意見をくれそうだ」と思われ、そこで意見を求められたら、ようやく「前の病院では」の解禁である。
そう、「前の病院では」が「基本的に禁句」と言ったのは、「前の病院ではどうしてたか?」と情報を求められた時はそこは素直に情報を提示すればよいということである。思う存分「前の病院」の話をすればよい。
さらに、自身に対して信頼が得られてきたと感じたら、いよいよ業務改善を提案していってもよい。
もちろんただ不満を言うだけではなく、現状の問題点、対策、対案まであくまでも建設的な意見として出すこと。そこに筋が通っていれば「めんどくさいやつ」ではなく「優秀な職員」と認定されること間違いなし(ごめん、管理職によるかも)。
中途職員はぜひ自分を出していくべし。
ちなみにここまで来るのに最低でも半年くらいはかけた方が無難だ。いくら優秀で筋が通った業務改善を提案するにしても「初期評価」が終わっていなければ相手の感情が受け入れてくれない。
そこまでは我慢だ。しっかり力を溜めておくんだ。
スタートダッシュに失敗した人たちへ
さて、ここまで読んですでに「失敗した」と思っている人もいるかもしれない。
あるいは今現在、転職後に大きなミスをして肩を落としている人もいるかもしれない。
そんな方へ向けたエールで締めくくろう。
人の評価は加点法と減点法があり、転職直後は減点法、在籍期間が長いほど加点法に移っていく。
解説しよう。
前述のように転職直後は「どんな人か」を評価するためにどうしても減点法で評価してしまいがちだ。ちょっとした言動や業務の抜けなど、みな自分の想像する理想の人から「ここが出来ていない」「この言い方は鼻に付く」など減点しながら評価していく。その減点が少ない人ほど優秀な職員と認定される。
が、長く関わっていくと「あれ、意外とこんな一面もあるんだ」「もっとしゃべりにくいと思っていたけど意外と話せる」「意外と患者さんのことよく見ている」「ちゃんと経営的な側面も考えているんだ」「思ったより芯がしっかりしている」など、プラスの面が見えその都度評価が上がっていく。
何が言いたいかと言うと転職直後に失敗して評価を落としても十分挽回可能だということ。
実際私も、「転職時の印象は良くなかった職員」が今は「強い信頼を置く職員」に変わっている職員はいる。
人の評価なんてそんなものだ。
今転職してうまくいっていない理学療法士たちよ、焦らなくていいんだ。真面目に、誠実に、こつこつと働きつつ、失敗とともに成長していけば評価なんていくらでも上がっていく。一歩ずつしっかりと進んでいくんだ。
まとめ
前編、後編と2回にわたって転職する理学療法士の心得について書いた。
結局は人と人。
正論やルールだけで物事がきまることはない。
人の感情をくみ取ることが何より大切。
それが言いたかった。言いたかったぞー!
転職する理学療法士たちに幸あれ!






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