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理学療法とサッカーと再現性

全理学療法士向け
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こんにちは、まめたです。

2022年のカタールワールドカップで、日本は同じグループリーグのドイツならびにスペインという格上に勝利し、決勝トーナメントへ進出。決勝トーナメント初戦でクロアチアに敗れたもののベスト16入りを果たし、日本中を沸かせたことは記憶に新しい。

今回の結果を残せた要因として、日本はボールを保持することを諦め、組織的な守備からのカウンターにより得点を重ねたことが大きな要因と考える。それを裏付ける証拠として、ボール支配率は日本(26%) vs ドイツ(74%)、日本(17%) vs スペイン(83%)という恐るべき数値が出ている。もちろん少ないチャンスを活かすことのできる選手たちが日本にいたという意味では、日本の選手たちの成長は過去と比べても間違いなくレベルアップしていると考える。しかし、この支配率は誰がどうみても圧倒的である。

その一方で、グループリーグで戦い0‐1で負けたコスタリカとの試合では、日本(57%) vs コスタリカ(43%)、決勝トーナメント1回戦にて1‐1(PK1‐3)で負けたクロアチアとの試合では、日本(42%) vs クロアチア(58%)とボール支配率は比較的拮抗しているものの勝利に結びついていない。

では、「もし、もう一度ワールドカップが開催され、メンバーも対戦相手も同じだった場合、同じような結果が出るか?」と問われた時に、私は同じ結果は出ないと答える。ドイツやスペインは10回戦ったら1回勝てるかどうかの相手であろう。逆に、コスタリカやクロアチアの方が勝てるチャンスがあると考える。

理由は、日本のサッカーにおける課題は、得点の再現性であり、ゴールにたどり着くまでの道筋(つまり戦術)が整理されていないためである。今回はドイツやスペインといった明らかに格上という相手に対しては、守備のブロックを築き、カウンターを狙うという戦術がチームで共有されていたため、勝利につながったというだけで、もう一度対戦するとなると相手も警戒をしてくるため、なかなか得点をあげるのは難しいと考える。

逆に、コスタリカやクロアチアとの試合は、攻撃におけるチームでの戦術が十分ではなく、選手まかせの攻撃に終始していた。力が比較的拮抗している相手に対しては、戦術が不十分でも個の力で得点のチャンスを作れるという意味で、ドイツやスペインよりはコスタリカやクロアチアの方が勝てるチャンスがあるという考えだ。(今回述べていることは1人のサッカーファンとしての考えであるためあまり気になさらずに)

話がだいぶ長くなってしまい申し訳ない。理学療法の話をしよう。

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理学療法と再現性

カオス(混沌)

サッカーの試合はカオスだ。敵味方の合計22人が105m×68mのピッチの中でボールを保持しゴールを奪い合う。それぞれ割り振られたポジションはあるが、ボール状況や味方・相手の状況で変わる。近年ではニセサイドバックという言葉も出ている始末である。

人の身体もカオスといって差し支えないだろう。分かっていないことが山程ある。そんな身体の症状に対して、理学療法士たちは現在分かっている医学を基に、症状の原因を紐解いていく(いわゆる評価だ)。

サッカーでは、そんなカオスの中、一瞬の閃きともいえる1本のパスやシュートで試合をひっくり返す選手たちがいる。例えば、メッシやエムバペといった天才たちだ。

理学療法士の中にも身体の状況を把握し、最も効率的かつ効果的に治療する天才たちがいるかもしれない。

ここで質問したい。「あなたは天才か?」と。

おそらくほとんどの人が「天才ではない」と答えるであろう。私なんかは即答である。

では、天才ではない選手がサッカーの試合で得点を決めることができるか?普通の学校を出て、普通に仕事をしている理学療法士が患者の症状を改善させることができるか?

答えは「できることが多い」である。

エビデンス

サッカーには「このような時にはこうした方が良いであろう」というように蓄えられてきた知識が少なからずある。例えば、2018年のワールドカップではセットプレーからの得点が全体の43%を占めることから、セットプレーにおける攻撃・守備の重要性が高いため、事前にチームで攻守についての決め事を確認するなどをしておくことが重要と言える。また、名称ビエルサの名前が付けられているビエルサラインというものがある。ゴールポストからペナルティエリアの角を結んだ線を指すが、この再度に引かれた線の内側からの得点が全得点の85%を占めると言われている(【図解】「ビエルサライン」とは?具体的にどこ?わかりやすいサッカー用語解説! | telesoccer (tele-saka.com))。このことから、シュートを打つ時はこのビエルサラインの内側から打つことで得点の確率が上がると考える。これなら、天才でなくても得点に絡むチャンスがあるかもしれない。

理学療法にも「エビデンス」といわれるものがある。例えば、変形性膝関節症の患者さんに対して理学療法診療ガイドラインというものが整備されている。以下は一例だ。

  • 減量療法:推奨グレードA・エビデンスレベル1
  • 筋力増強運動:推奨グレードA・エビデンスレベル1
  • ストレッチングおよび関節可動域運動:推奨グレードC・エビデンスレベル2

このように、先人たちの蓄えてきた知識を活用させていただくことで、天才でなくても患者さんの症状改善のお手伝いができるかもしれない。

再現性

世の中のほとんどの人は天才プレーヤーではないと思う。

サッカーの試合中、たまたま蹴ったボールが周囲の想像を越えるパスとなり得点につながったのをきっかけに勘違いしてしまい、再現性のないパスを繰り出し続けるMF然り。

膝の痛みに対して膝のストレッチをしたらたまたま良くなったため、どんな膝疾患の患者に対しても膝のストレッチをし続ける理学療法士然り。

“たまたま”に固執し、勘違いし、再現性のないことを繰り返すことで、得点の、改善の機会を失っていく様は、チームにとって、患者にとって非常に不利益である。

持っている知識を拡げ、最も効果的に、効率よく患者さんを改善させようとすることはとてもとても大切である。人は理想を求めるものであり、天才に近付こうとすることを否定している訳では決してない。ただ、過去の記憶にすがり理学療法がうまくいっていないのであれば、エビデンスにあるような減量を勧めたり、筋トレをしたりするなどの手段も有用であることを覚えておいてほしい。

そして、良くなった事例に対して『なぜ良くなったのか?』という理由を自分なりに、もしくは他者や文献的な考察も踏まえて解釈していくことが、再現性の高い理学療法を提供することにつながると考えているのである。

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まとめ

今回は、私のエゴにより、サッカーと理学療法を結び付けて書かせてもらった。サッカーに興味があったとしても記事の構成上、読みにくい部分が多々あったと思われる。また、サッカーに興味のない方にいたっては読む気さえ失せる記事であったこと、大変申し訳なく思う。

最後までこの記事を読んでいただいた方には本当に感謝しかない。

読みやすい記事を、再現性高く書いてみたいものだ。

この記事を書いた人
まめた

悩める中間管理職
外来勤務

全理学療法士向け
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おっさん理学療法士はこう考える

コメント

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