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地域ケア会議で理学療法士が気をつけるべきポイント

若手向け
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こんにちは、まめたです。

最近は理学療法士が所属施設から地域に出ていく場面が増えてきている。特に地域ケア会議では、多職種がそれぞれの視点で事業所に対して、質問や助言をしていく場であるため、発言の内容によっては後味の悪い結果になりかねない。今回はそんな地域ケア会議に参加する理学療法士が気を付けるべきポイントについて書いていく。

ちなみに、前回の記事では『介護予防教室を無難に成功させるためのポイント』について書いたため、興味のある方はそちらもご一読いただきたい。

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地域ケア会議とは

はじめに、地域ケア会議について簡単に説明しておく。都道府県ならびに市町村で進め方などが違うこともあるかと思うがご了承いただきたい。

出席者と役割

まずは、症例にあがった利用者の担当ケアマネージャーやサービスを提供する各事業所が参加する。事業所は利用者のサービスによって異なるため、デイサービススタッフ、デイケアスタッフ、訪問看護ステーションの看護師、ヘルパーステーションのヘルパー、福祉用具を取り扱っている事業者など多岐にわたる。ちなみに、デイケアや訪問看護ステーションのリハ専門職が関わっている場合、リハスタッフは大抵不参加であり書面での状況報告のみとなる(助言する立場としてはいない方がやりやすいと思っている)。

続いて、アドバイザー(助言者)という立場で参加する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士、薬剤師である。ただし、全職種が毎回参加するという訳ではなく、そのうちの4名程度が参加している印象が強い。

最後に、市や区の職員(司会進行を務める)や、社会福祉協議会などのコーディネーター(たまにケアマネージャーの視点からアドバイスをくれたりする)が参加する。

会議の進み方

私たちの地域で、地域ケア会議の1~2週間前に利用者の情報が送付されてくることが多く、事前に読み込む時間があるため助かっている(以前は、当日その場で、数分間読み込む時間を与えられた後、ケアマネージャーより簡単なケアプランの説明があり、すぐに質疑応答に入っていた)。

まず、ケアマネージャーや各事業所がそれぞれのケアプランやサービス計画書を基に、利用者へ提供しているサービスの内容について説明がある。

次に、司会より、助言者から質疑応答ならびに助言をするよう進められる(『進められる』と書いたのは『勧められる』ではなく、逃れようのない『進行』だからである)。この時、私の地域では理学療法士が司会の一番近くに座っており、常に一番最初の助言者となる。真ん中あたりに座らせてもらえると丁度良いと思う次第である。

端から順番に助言者が助言をしていき、最後にもう一度会場から質問やアドバイスがないかを司会者が確認し、何もなければ1症例が終了となる。1症例あたりだいたい30分程度であったと記憶している。そんなことを4症例程度(約2時間)実施し、その日の地域ケア会議は終了となる。

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地域ケア会議での発言のポイント

謙虚な発言を心がける

“謙虚な発言”と聞いて当たり前だと思う方もおられると思うが、これには理由が2つある。

1つは、理学療法士と利用者を担当しているケアマネージャーおよび事業所とのパワーバランスである。私が感じるに、理学療法士は”先生”などと言われることがあり、身体や動作の知識について多職種より一目置かれている雰囲気がある。こんなことを理学療法士が発言すると「自意識過剰だ、そんなに偉くない」と思われてしまうかもしれないが、地域に出ると介護保険分野で働いておられる方からはそのような目線を感じるのである。

そのため、そこで調子に乗って偉そうに発言することで、「理学療法士は…」と陰で言われることになる。以前、ケアマネージャーに地域ケア会議に出席する理学療法士についてアンケートをとったところ、『態度や口調が偉そう』といった意見が聞かれた。理学療法士全体のイメージのためにも相手を立てながら発言することをお勧めしたい。

2つ目は、利用者を担当している方々は利用者のことを一生懸命考えてプランを作成・実施している点である。自分が一生懸命考え、実施しているものを他者からとやかく言われるのは気分の良いものではない。相手の心情に配慮しながら発言をすると、自ずと謙虚な発言になると思われる。そうすることで、本来の目的である利用者のケアプランや介護サービスの適正化につながるのである。

断定的な発言を避ける

助言者が知り得る情報は、紙や会話の中だけであり、動作も見れなければ、評価もできない状況である。それを担当者との質疑応答の中で鮮明にしていく。そのため、断定的な発言をすることはリスクが高い。勝手な妄想を膨らませて症例を作ってしまわないよう注意が必要だ。

助言は提案に留め、リスクも合わせて伝える

先にも述べたが、症例についてはケアマネージャーからの説明や資料があるものの実際のところは知らないと言っていい。そのため、例えば変形性膝関節症の活動量が減少傾向にある症例の提示があったとした場合、「お話を聞く中では膝の痛みは軽度であり、運動をしていくことでADLの改善が図れると考えるため、○○のような運動を1日20回×3セットしてみると良いかと思います。ただし、運動を進めていく際に痛みが増悪したり、運動によって体調が悪くなるような場合は一度中止して医師に相談して下さい」といった具合に話をすることで、患者に直接関わっている方達を尊重し、リスクも回避できると考える。

根拠や経験上も添えて提案

例えば、歩行や運動を提案したい場合に、「歩いた方がいいですよ」「立ち座りの運動を20回×3セットした方が良いですよ」などのような言い方は、あくまで助言者という立場上の提案になる。もちろん理学療法士の人が言っているからやってみようと思っていただけるならありがたい限りである。しかし、人を説得するためには何かしらの根拠を持って伝える方が良いと思うため、「○○のようなことが研究で報告されている」ということを添えると説得力が増すと考える。また、自分の提案にあまりエビデンスが伴っていないことももちろんあると思われる。そのような場合は、「経験上~」と説明するのもありだと私は考える。

他職種に配慮する

会議を進める際、理学療法士である助言者は流れ的に最も最初に提案をする助言者である。そのため、作業療法士がいる場合は認知機能について聞いてしまうと、その人の仕事をとってしまうことになってしまう。他にも、管理栄養士がいるところで食事について助言したり、薬剤師がいるところで服薬のことを助言したりしてしまうと、相手の職域に踏み込んでしまうため注意が必要だ。

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まとめ

今回は、地域ケア会議に助言者として参加する際のポイントを記載した。地域ケア会議は他職種が参加し、しかも助言者として呼んでいただく立場だ。そのような場での立ち振る舞いは後々に影響を及ぼすため、相手の背景に配慮しながら、謙虚な気持ちで臨むことが肝要と考える。

まだ参加したことのない方、参加したがうまくいっていない気がするという方、一読いただき何かのきっかけになれば幸いである。

この記事を書いた人
まめた

悩める中間管理職
外来勤務

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おっさん理学療法士はこう考える

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